ふたたび旅(アフリカ編 たびタビ旅part2)

約2年4ヶ月の旅(http://zensin.jugem.jp/)からはや5年あまり。もう行かないはずだったのに、3回目の長い旅へ…。我が旅人生堂々の3部作完結アフリカ編!!…のはずです。

2006年09月



明日ここコタキナバルからクアラルンプールに戻ります。
ボルネオ島、とうとう最後の日となりました。
サンセットリバークルーズに参加。
これは町から車で2時間ほど離れた川まで行き、そこで小さいなボートに乗り川岸に木々に住むサルを見たり沈む夕日を眺めたりするもの。

同じ船に乗ったのは、年配のオーストラリア人夫婦と若い中国人のカップル2組に中国人のおじいちゃん。
他にも何隻かボートが出ていたのですが、ほとんどが中国人韓国人日本人と思われるアジア系の人々。
今まではどちらかというと欧米人ばかり目立っていたのでなんだか不思議な感じがします。
カイドブックの影響でしょうか、それともツアーの人が多いからでしょうか。
一人で参加している人、バックパッカーと思われる人は見渡す限り僕ひとり。
なんやら少し寂しくなってきます。
特に同じボートに乗っている若い中国人カップルたちは新婚旅行なんでしょうか二人見つめあって微笑みあったりお互いもたれあったりとアツアツです。
どうやら僕は来てはいけないところに足を踏み入れてしまったようです。

川では予想以上にたくさんのテングザルを見ることができました。
名前が示すとおり鼻が大きいです。
鼻が大きいとアレも…と申しますが、そちらのほうは未確認。
ボートを降り、夕食を食べる。
バフェット形式で食べ放題。
貧乏性なのかここぞとばかり食べ過ぎてしまいます。
この分ではせっかく山を歩いて痩せたのにすぐにもとに戻ってしまいそうです。

食事の後は蛍の観賞。
大きな木にたくさんの蛍が一斉にチカチカと光っていました。
なにやら不思議な風景。
独りで見ても、綺麗でした。









朝起きると、ふくらはぎと太もも前面がすごい筋肉痛。
こんな筋肉痛久しぶり。
K君と二人ロボットのように体をギクシャクさせイテテイテテと歩く。
マウントキナバル恐るべし。

コタキナバルに帰るため、タクシーに乗る。
そしたら運ちゃんが「ラフレシア見ないか?」と。
ラフレシアは世界最大の花。
何ヶ月もかけた後やっと花が咲き、それも5日で枯れるという貴重な花。
見ることは諦めていたのですが、なんとラッキーなことか。
昨日から幸せな日は続きます。

タクシーは道端にある民家の前に止まる。
そこのおばちゃんと値段の交渉をする。
運ちゃんはディスカウントしてくれるかもしれないと言っていたが、僕が精一杯の笑みを浮かべて愛想ふりまいてもおばちゃんまけてくれず。
まだまだ修行が足りません。

20RMも払い、そのおばちゃんの旦那らしきおっちゃんに連れられ15分ほど歩かされる。
すると柵に囲まれた一角にラフレシアが一輪咲いていました。
う~ん、何て言ったらいいのだろうか。
確かに大きい。
美しいとはいいがたい。
その花には蝶やミツバチならぬハエがたかっている。
とにかく世界最大の花なのだ。
でも花は大きさじゃないね。
何かと一緒でやっぱり色と形だよね。




キナバル登山二日目。
朝いや夜2時半に起きて、3時に宿を出る。
雨は降っていない、よし。
フリース、ジャンパーなどをしっかり着込み、頭にはヘッドライト。
真っ暗の中、ヘッドライトの明かりだけをたよりに進む。
緑の木々の中を歩いた昨日とはうってかわり、ごつごつした岩の上を歩く。
ところどころロープにつかまらないと登れないような急な坂が現れる。
周りの景色は暗くて全く見えない。
上がるにつれ空気が薄くなってくるのを感じる。
足が鉛のように重い。
最初はグループの先頭を歩いていたが、そのうち二人の大学生に抜かれ遅れをとる。
悲しいが体力の衰えを実感させられる。
頂上から強い風が吹き付けてきてさらに歩みが鈍くなる。
なんで下から吹き上げてくれないんだなんてイライラする。
2時間あまり登ったとき道は一段と険しさを増し岩をよじ登るようにして進むしかなくなる。
頂上は近い。
そして、5時15分、頂に立つ。
もうこれ以上登ることはできない。
やったーとうとう頂上まで来たんだ~。
オレはやったぞ~。
おーーーー寒い、寒い、寒い。
ここまで横をぷらぷらついて来るだけでほとんど話さず仕事らしい仕事をしないガイドがポツリとつぶやく。
「朝日は見ることできない。曇っているから。降りましょう」
周りを見渡しても暗く曇っていて何も見えない。
とりあえず頂上を示す看板の前で記念撮影。
30分ほどそこで粘るが、風がビュービュー鼻水だらだら。
もう限界、下りましょう。
下っているとほんのりと空が明るくなってくる。
こんなだだっ広い所を歩いていたんだと驚く。
7時半宿に戻る。
三人で登りきったことを喜びあう。
俺たちはやったよ。
8時半宿を出発、再び下山を開始。
三人で他愛もないことを話しながら下るが、下り坂は足に負担がかかる。
11時過ぎ登山口に到着。
今日は標高3272mから4095mまで登りそこから1866mまで下りてきたことになる。
7時間も歩きました。
昨日と合わせると11時間。
足がくがくです。
でも、この山毎年10月1日あたりにマラソン大会があるだが、その優勝者3時間を切る速さで登り下りをするらしい。
人間じゃねぇ。

慶大生M君と別れ、京大生K君と近くにあるポーリン温泉へ。
温泉だよ、温泉。
外の水着で入る湯船は無料。
さっそくお湯をはり入る。
あまり効能は無さそうだが、とにかく暖かいお湯につかれるだけで幸せだ。
足をしっかりマッサージ。
温泉につかると日本人に生まれた幸せを感じる。
世界中で国々を見てもこれほど温泉に情熱を燃やす国民はいないだろう。
魚を生で食ったりと日本人ってすごく変わった民族だね。
次、湯船につかれるのはいつのことだろう。

温泉を出て、近くの植物園へ。
夕方、オランウータンが餌をもとめ山から下りてくるらしい。
こんな所で見ることができるなんて聞いたことがないから半信半疑。
しかも、料金はたった3RM。
待つこと30分。
彼女は来ました。
係の人に餌をもらい美味しそうに食べています。
この前クチンで見たときはかなり遠くしからしか見れなかったが、今回は目の前で見ることができる。
本当は駄目かもしれないが、ちょっと触ってみました。

今日一日でマウントキナバルに登り、温泉につかり、オランウータンを見る。
こんなことを一日で達成していいのでしょうか。
幸せな日。
晩は夜6時に就寝。
いい夢見れました。











東南アジアで一番高い山、キナバル山。
標高4095m。
富士山にも登ったことのない僕が登ります。
ここで見事に登頂し、ピナクルのかたきをとります。

同行者は、二人の日本人大学生。
京大のK君と慶応大のM君。
頭のできも体力でも負けております。

一日目、まずはキナバル国立公園にバスで行き、そこの公園事務所で登山の諸手続きをする。
例のごとく登山許可料100RM、ガイド料70RM、入園料15RMなどなどたくさんのお金を取られます。
もう3週間あまりもボルネオを旅していると、高い料金にも慣れてきました。
9時半より標高1866mの地点より登山がスタート。
宿泊地であるラバンラタは標高3272m。
標高差1400mあまり、えんえんと登り道が続きます。
1時間ほど歩くと恒例?の雨。
悲しいことにもう雨にも慣れてきました。
雨男と呼んでください。
その後雨は一日中降り続けました。
さらにきつくなる坂道を雨に打たれながらゆっくりゆっくりと登ること4時間。
とうとう一日目の目的地ラバンラタに到着。
ここまで上がってくると気温も下がり10℃を切っており、さらに雨に打たれ濡れたことにより凍えるような寒さに。
しかし、ラバンラタレストハウスは暖房完備!
だってドミトリーにもかかわらず69RMも払っているんだもの。
明日の頂上への挑戦を前に宿でのんびりくつろぐぞ…あれ?
寒い、寒い、寒~い!
何でだ?
夜8時までは暖房はつかないとのこと。
おいおい69RMだぞ~どうなってんだ。
何?フライドライスが13RM?ミネラルウォーターが9RM?普通の3倍の値段がするじゃねえか。
こりゃ寝るしかないな。

おやすみ!



この旅4カ国目ブルネイに到着。
ブルネイと言っても馴染みのない国かもしれませんが、ボルネオ島の北部にある小さな小さな国。
この国かなりの金持ち。
人口が30万人しかいないのに石油がでるわでるわで、一人当たりの国民総生産は日本の約6倍。
おかげで国民は個人所得税なし医療費無料など羨ましいかぎり。

はたしてどんな国なんだろうと期待してきた訳ですが、旅行者にとってはあまりおもしろくない。
まず街に活気がない。
東南アジア特有の猥雑さがないのだ。
首都であるバンダルスリブガワンでも街にあまり人が歩いてない。
みんな車に乗っているのだ。
一人一台って感じ。
それも他の東南アジア諸国では見かけないようなピカピカ光った新車ばかり。
なんかアメリカの地方都市みたい。
みんな郊外に住んで車にモールに買い物に出かけ街中心部は少し寂れている。
夜になると開いている店も少なく暗い。
人もあまりかまってくれません。
何故経済が発展するとヨーロッパ、アメリカ、日本などのように他人に対して壁を作ってしまうのでしょうか。
いろいろ物を持ってしまうと人間守りに入ってしまうのでしょうかねぇ。

そんな訳で2泊しただけでまたマレーシアに戻ることに。
朝7時20分の港行きのバスに乗る前に朝飯を買いに市場へ。
おばちゃんがやっている小さな店で揚げパンをいくつか買いました。
するとそのおばちゃん、揚げバナナをいくつかサービスで入れてくれるじゃないですか。
おばちゃん、優しい!
ブルネイもいい国だね。





ある国を旅行している時、とりたてて大きな理由はないのだが無性に行きたくなる場所があります。
マレーシア、ボルネオ島の場合はピナクルでした。
ピナクルとは、するどく切り立った石灰岩が林立するなんとも不思議な景色でアピ山に登ることによって見ることができます。
ガイドブックに乗っている写真を見たとき、おおなんかいいなと思いました。
調べてみるとそこへ到る道は険しく登ることは大変らしいことが分かり、ますます冒険心もかきたてられこれは是非とも行かんとならんと決意しました。

そして、いよいよピナクル観光の基点となる町、ミリまでやってきました。
しかし、これからが大変なのだ。
その理由は、とにかく金がかかるということ。
まずピナクルのあるムル国立公園まで飛行機で行かなければならない。
往復で約240RM(約7500円)。
そこから川をボートで2時間ほど移動するのだが、その料金が往復250RM(約8000円)。
そして、ガイドが必ず必要なのでその料金400RM(約13000円)なり。
それに飯代宿泊費などもろもろの費用がかかってくる。
とてもじゃないが一人で払える金額ではない。
安くあげるにはボート代ガイド料をシェアする人を見つけるしかない。
しかし、見つかるか見つからないかは運しだいってやつだ。
ガイドブックによると、一人で登ろうとする人にはツアーの参加を考えるのも安くあげる良い方法だと書いてあったので、旅行代理店も何軒かあたってみる。
一番安いところで飛行機代等全て込みで約13500RM(約45000円)。
これこそ払える金額ではない。
もう行くのは辞めちまおうかとまで思ったが、ムル国立公園には歩いて気軽に訪れることができる世界最大級の大きさのを含めいくつかの洞窟があるので、最悪、同行者が見つからなければ洞窟だけを見て帰ろうという極めて妥協的な案を採用しとりあえず片道の飛行機のチケットと一泊目の宿の予約だけをして行くことに決定。

小さな小さなプロペラ機の30分ほどのフライトでムルに到着。
さっそく公園事務所に行きいろいろ訊ねてみる。
どうやらやはり自分で同行者を見つけるしかないようだ。
同行者募集の張り紙が貼ってあるボードをチェックするも見つからず、同じ飛行機に乗っていたカナダ人の男に訊くが料金が高いとのことであまり乗り気ではない。
やはり諦めるしかないのか。
そう思いつつ、その日はいくつかの洞窟見学をしました。
しかし、夕方、洞窟から数万匹のコウモリが餌を求め大空に黒い帯となって外に飛び出して行く様を眺めている時に、救いの女神が登場したのです!
そこにクピトからベラガまで同じボートに乗っていたイギリス人の女の子が現れたのです。
なんと彼女もピナクルに行く同行者を探しているとのこと。
これでとりあえず2名だ。
この女の子そこそこ魅力的なのですが、その女の子の話を聞いたカナダ人の男も先ほどとはうって変わり急に行く気満々に。
ああ男って単純な生き物ですね。
しかし、とにかくこれでめでたく3人集まったので行くことが決定。

翌々日、午前中洞窟の中をロープでよじ登ったりするアドベンチャーケービングってやつをして、午後ガイドとともに食料を買い込みいざボートで出発。
2時間ほどでボートを降りそこからは3時間ほどのトレッキング。
明日ピナクルを見ることができると考えただけで笑みがこぼれ歩くことも苦になりません。
山小屋に到着しその晩はガイドが作ってくれたチキンカレーをがつがつと食いエネルギーを蓄える。
しっかりと体全体をストレッチしてほぐす。
準備万端いよいよ明日だ!

朝6時に起床し朝食を食べ、7時に宿を出発。
いきなり険しい道が続くがゆっくりゆっくり小さな歩幅で一歩一歩踏みしめて登っていく。
果たしてこれからどのような道があらわれ、どのような風景を見ることができるのか。
そう期待に胸を膨らませ2時間ほど歩いたときだった。
ザーーーーーーー
突然、大粒の雨が空から降り出す。
雨とはついてない。
しかし、登り続けるのだ。
そう決意を新たにもうひと踏ん張りしようとした時、さきほどまでにこやかに歩いていたガイドが立ち止まり険しい顔で上空を見上げている。
そうして僕らを見回しこう言った。
「雨が降ると足元が滑って危険なのでこれ以上登ることはできない。今から山を下る。」
な、なんだと~。
参加者全員何とか登りたいと主張するが、願いは受け入れられず。
なんてこったい。
あと、後1時間あれば頂上まで着くんだぞ。
明日再びチャレンジすることもできず、もちろんお金も戻ってこない。
こんな不条理なことがあるだろうか。
つらい、辛すぎる。
旅とは自然や社会情勢に翻弄されながらもその中でなんとか折り合いをつけてやっていくものなのかもしれないが、こんなことって…。
ガイドはいいやつで暗くなる僕たちにジョークなどを言って励ましてくれるのだが、それに素直に笑うことができず冷たくあしらってしまう僕。
なんて小さな男なんだ、僕ってやつは。
こんなことまで再認識させられる。

山を下りると雨はすっかりあがり青空に。
はたしてピナクルをこの目で見ることのできる日が来るのであろうか。

いつの日か。







クピトよりさらに上流にある小さな町ベラガからミリまで移動。
移動手段は自動車で、同乗者は60過ぎのニュージーランドのおっちゃん、20半ばのカメラマンの卵のイタリア人の兄ちゃん。
ガイドブックにはベラガへの交通機関としてボートしか書いてなかったが、いつの間にか車で行けるようになったようだ。
またボートで同じ川を下って行くのも退屈で遠回りになるので良かった。
車種はトヨタランドクルーザー。
舗装されていない道をゆっくりと進む。
このような道で使われるランドクルーザーはつくづく幸せものだと思う。
ほとんどの車が街中の舗装された道路を走らされ、その性能の一部しか出させてもらっていない。
こんな悪路を走ってこそランドクルーザーはランドクルーザーたりえるのだ。

しばらく走り大きな幹線道路で降ろされる。
そこでミリ行きのバスを捕まえ乗り込む。
1時間ほどでバスを降り、そこからタクシーでニアケーブに向かう。
3人で移動すると料金をシェアすることができるのでタクシーを気軽に利用できて便利だ。
ニアケーブは世界でも最大規模の大きさをほこるという洞窟。
大きなところではビルがいくつも入る大きさ。
中は通路が整備されていて歩きやすいが、ところどころ真っ暗で何も見えなくなる。
入り口で係のおっちゃんに懐中電灯をレンタルしないかと言われ、お金がもったいないからいらないかとも思ったが念のため借りておいて助かった。
あんまりケチケチするもんじゃないね。

ミリまではまたタクシーで移動。
なかなか良い宿が見つからず、何軒か回った後結局独房のような汚い3人部屋にチェックイン。
その後、中華料理を食いながらビールで乾杯!
うまい!!
大勢での食事は楽しいもんだ。

イタリア人の兄ちゃんが明日の予定を話始める。
ブルネイに行くらしくニュージーランドのおっちゃんとどうやって行こうかなど相談しはじめた。
僕は明日はムル国立公園に行くつもりだったので別れるつもりだったのだが、二人は僕も一緒に行くものだと思っているようだ。
なんか言いづらいなぁと思いつつもいつかは言わなければならないので、おそるおそるその事を告げる。
二人は残念そうな顔をしてくれるがそれはそれで仕方がないと言ってくれる。
一人旅をしているのだが、その途中たくさんの旅行者と知り合い一緒に旅することも多々ある。
やはりいつかは別れるのは当然なのだが、しばらく一緒に時を過ごした仲として別れるのはやはり寂しい。
ありきたりの言い方なのだが、旅は出会いと別れの繰り返しだ。
別れがあるからまた次の出会いもある。
次は可愛い女の子かな。







クチンからボートでクピトまで向かう。
まずクチンからシブへ。
これは比較的大きな船で海も穏やかで乗り心地も良かった。
しかし、とにかく寒い。
クーラーが効きすぎているのだ。
半袖半パンサンダル姿の東南アジア旅行スタイルの僕は寒くて震えた。
周りを見渡すとみんな長袖長ズボンを着ているじゃないか。
地元民はぬかりないな。
外に出ようにも出られず、長袖の服の入っているバックパックも預けてしまっていて取り出すことができない。
仕方がないので、狭い船内の通路を動物園の熊のようにうろうろと歩き回る。
暑い国に来て寒い思いをするなんていやだ~。
まぁ東南アジアでバスなどで空調が効きすぎているいることはよくあることなので、それに対して準備していない僕が悪いと言えば悪いのだが。

5時間の極寒の船旅を終え2時にシブに到着。
ここから船を乗り換えレジャン川を遡る。
50人ほど乗れる少し小さなボートなのだが形は細長くいかにもスピードが出る感じがする。
実際轟音を立て川面を跳ねるようにすごいスピードで進んで行く。
60km以上出ているようだが感覚的には100kmぐらいに感じる。
船内の温度もほんのり暖かく快適。
濃い緑のジャングルに囲まれた川を進んで行くのは気持ちの良いものだ。

船はところどころ止まり川岸にポツンと建てられた家に人を降ろしていく。
よくこんな何もない所に住めるものだと思ってしまう。
ジャングルと川しかない所でどうやって暮らしているのだろうか。
世界中を旅していると砂漠や人里離れた山の奥などこんな所に住んでいるのかと驚くことがあるが、住めば都ってやつなのであろうか。
まぁ、そういう僕も日本で住んでいる自分の部屋のあまりの散らかりよう汚さに、こんな所に人が住めるのかとある意味違う驚き方をされるのだが。

船はどんどん上流し進んで行くが周りの景色はえんえんとジャングルだけが続いて行く。
こんな所に町なんてあるのだろうかと心配になってくる。
そして3時間半ほど経ったとき、船はコンクリートの階段がある川岸へと接岸する。
降りるとそこには立派な町があるではないか。
何軒ものホテル、たくさんのレストラン、商店、マーケットなどなど。
いや~自然の雄大さもすごいけど、こんな場所にまで立派な町を創り上げる人間ってすごいね。



クチンの北37kmの海に面した場所にあるバコー国立公園。
まず近くの村バコーバザールまで2RM払いバスで行く。
バスは約1時間で到着。
そこからボートに乗り30分かけて公園に向かうのだ。
このボート、一艘40RMのチャーターという一人旅の者にとってやっかいなシステム。
同乗者が見つかるか心配していたが、同じバスに乗っていたスイス人カップルらとシェアすることができ8RMで行けることに。
ちょっとしたことですが、ホッとします。

この国立公園はなんで有名かというと、野生の動物を気軽に見ることができるからだ。
ボートを降りると早速、そばの木の上にサルがいるではないか。
しばらく歩くと、野生の豚、蛇、カニ、ヤドカリなどなどたくさんの動物が現れる。
トレッキングのコースも歩きやすく整備されており、行き先もきちんと標示されているので迷う心配もない。
4,5時間ほど歩いたが、途中頭上でガサガサっと音がして見上げるとサルがいたり、食虫植物を見つけアリをその中に入れてみたり(アリさんすみません)して気持ち良く過ごせた。
こんな山歩きって楽しいもんだ。

気分良く帰りのボートを待つ。
しかし、上空を見上げると何やら雲行きが怪しくなってくる。
ザザーザーーーーー!!!!
雨だ、いやスコールだ!
ボートに乗り込むが屋根はなく傘も持っておらず、ずぶ濡れ…寒い…。
びしょ濡れのまま、またバスに乗りクチンに帰りました。
終わり良ければ全て良しとはいいますが、こんな場合はなんて言うんでしょうねぇ。



ロングハウスってところに2泊3日で行ってきました。
ロングハウスとは何ぞやというと、ここサラワク州に住む先住民族の住んでいる川沿いに建てられた家です。
その名の通りなが~い高床式の家で、僕の行った家には23家族で100人あまりの人が住んでいました。

クチンの町から車で3,4時間ほど走り、小さなボートに乗り換え川を2時間ほど遡った所に村はあります。
そこでその家の一つの部屋に泊まらせてもらい、近くの山を歩いたりして楽しませてもらうわけです。
山歩きは1時間ほどの短いものですが、川のほとりで竹を使って昼飯を作ってくれました。
バナナの葉に米、鶏肉、魚などを包み、それを竹に詰めて蒸し焼きにするのです。
これは見ていても楽しく、できあがった料理をバナナの葉の皿にのせて手づかみで食べるのはなかなか豪快で美味しかったです。
このようなことをするのですが、この旅は基本的にヒマです。
この村の人達は愛想も良くなく、人によっては挨拶をしても無視されるくらいです。
小さな子供たちもここに訪れる外人を見飽きているのか近寄ってもきません。
お金、お金と寄ってきてあまりにも金儲け主義のツーリスティックでないのは良いのですが、ほとんど相手にしてもらえなくほっとかれるというのも少し寂しい気がします。
あまりにすることがないので家の周りにいる鶏や豚を眺めたり、家の中で久しぶりにストレッチをしたりしてました。
あげくの果てには瞑想なんてものまで始めてしまいました。
悟りまでは開けませんでしたけれど。
でも、のんびりしたからか静かだからか分かりませんがよく眠ることができました。
昼寝とかを含めたら10時間以上は寝たんじゃないでしょうかねぇ。
リラックスできたからヨシとしましょうか。

しかし、この旅、実に高い!
なんと400RM(約13000円)!!
いくら交通費食事代も全て込みだとは言え、これだけのお金があれば普通の旅をしていれば一週間は過ごせます。
これからの旅をどうしうようかとガイドブックを読み込んでいくととんでもないことが発覚。
なんとボルネオ島の見所の多くが大自然であるため辺ぴな所にある場合が多く、交通が不便で移動費が高くまた入域許可料やガイド料などがかかってくるため、かなりのお金が必要となってくるのだ。
もしかして僕はとんでもない所に足を踏み入れてしまったのか。
これから僕の旅はどうなってしまうのか。

恐ろしい。




↑このページのトップヘ