リシュケシュよりマナリーへ移動します。
いったいどうやって行けばいいのか分からなかったので、旅行代理店の人に尋ねます。
するとここからの直通のツーリストバスはなく、いったんここからバスで一時間ほどの場所にあるハルドワールという町まで行き、そこからローカルバスに乗らなければならないとのこと。
ハルドワールからマナリーまでどのくらいかかるかと訊くと、だいたい8時間くらいで着くのではないかということ。
それなら早朝にここを出発すれば、なんとか夕方には着きそうです。
そして、朝9時にハルドワールに到着しました。
マナリー行きのバスは9時45分のがありました。
ちょうどいい感じです。
どのくらいで着くのかチケット売り場の人に訊いてみます。
答えは‥‥。
シックスティーン。
えっ!?シックス?
ノー!シックスティーーーーーーン!!
おいおい旅行代理店の兄ちゃん、全然違うやないか。
インド人~。
ちょっと待てよ、16時間かかるってことは、10時前に出発なんでそれに16を足すと‥‥え~と‥‥12時間後が夜10時なわけで更にそこから4時間かかり‥‥‥え!?夜中の2時頃!?
は~ぁ、勘弁して欲しいです。
バスはローカルの名に相応しいぼろっちいもの。
一列5席で、リクライニングなし、そして、もちろんエアコンもなし。
16時間、無我の境地になり耐えるのみです。
乗客にはたくさんのチベット人がいます。
北に向かうことを実感します。
バスはほぼ予定通り10時頃出発します。
がたがたと揺れながら走っていきます。
乗り心地ははなっから期待はしていなかったのですが、気温が高いのがつらい。
暑さでぼぉ~っとしてきます。
そうして窓の外をぼぉ~っと眺めていると、マナリー300キロとかかれた標識が視界に入ってきます。
300キロ?
時速50キロで走ったとしたら6時間で着くじゃないか。
今が2時なので、もしかしたら夜8時くらいに着くのか?
少し希望の光が見えてきました。
でも、インドでそんな甘い話はあるわきゃない。
それからがなかなか距離が減らない。
6時を過ぎても、残り200キロの表示が出ています。
4時間走って、100キロほどしか減らないってどういうこっちゃ。
いったいどういう道の走り方をしているのだ。
そして、日も沈み暗くなり、道は急な上り坂へと変わり、バスはさらにスピードを落とすのでした。
はい、少し早く着くんじゃないかというささやか願いはきっぱりとあきらめました。
いつの間にか眠っていたようです。
バスが揺れ、窓に頭をしたたかに打ちつけ、目を覚まします。
うっ、寒いです。
回りを見渡すと僕以外の乗客はみな厚手の服を着込んでいます。
半そでなんて僕だけです。
何か着ようにも荷物は全て屋根の上に載せてしまっています。
ああ、寒い寒い。
これだけ寒いということは、ずいぶんと高い標高まで上ってきたのでしょう。
もうマナリーに近そうです。
そして、2時半、マナリーに到着。
本当に16時間ほどで着きやがる。
なんでこんな時にはちゃんと時間通りに着くのだ、インドのバス。
僕に嫌がらせをしているとしか思えません。
しかし、この2時半という時間もまた微妙な時間ではあります。
これが12時くらいならあっさりとホテルに泊まろうとするのだが、この時間になると朝までのわずか数時間のために一泊分の料金を払うのもなんか馬鹿らしい。
しかし、朝まで外で過ごすにもまた長すぎる時間でもあります。
さて、どうしよう。
バックパックの中には寝袋は入っている。
ほとんど使ったことはないのだが、念のため夏用のすごく薄いものを持っているのだ。
せっかく持っているのだから、たまには使うとするか。
ということで朝までバススタンドで寝ることにします。
ベンチの上に寝袋をひろげもぐり込みます。
寝袋の中はあったか~いということはなく、薄い布を通して冷たい外気が容赦なく染み込んでくるのでした。
昼間はあんなに暑かったのに、なんで同じ日の夜にこんなに寒い思いをするのだ。
しかし、ああ~寒い寒いと思いつつ、いつの間にか深い眠りに落ちていたのでした。