予定ではルンブールには3泊してチトラールに戻ることにしていたのですが、宿のオーナーに6月1日に親戚一同で一泊二日でヤギを連れて山に行く行事があるのだが一緒に行かないかと誘われたので予定を延ばし参加することにします。
カラーシュの人々と一緒に過ごせるというのも魅力的だが、なんと言ってもヤギと一緒に歩けるってのがたまりません。
ヤギってめちゃくちゃ可愛いですよ。
そして、今日は山の上で飼われているヤギを迎えにいくというので、一緒に連れていってもらいます。
一緒に行くメンバーは、10代後半くらいの男の子二人と10才前後の女の子二人、6、7才くらいの男の子、そして、同じ宿に泊まっている日本人のK夫妻です。
昼飯を食べてすぐ出発します。
オーナーに軽く行くか?みたいに誘われたので、1、2時間の散歩のようなものかなと気軽に考えていたのですが思ったよりも過酷であります。
風景が綺麗だと喜んでいたのは最初の30分くらいだけでした。
その後は、道なき道をひたすら登ります。
休憩をこまめに取ってくれますが、かなり急勾配です。
それに加えてすごく良い天気で、高地のため太陽の照りつけも厳しいのです。
のども渇いてきますが、こんなにも長く歩くと思っていなかったので、水も持ってきていません。
のどの渇きが疲れを倍増させます。
それでも旅の途中でさまざまな場所でトレッキングしてきた僕にとってこのくらいなんともないはず。
女の子や小さなぼうずどもに負けてられるかと先頭をきって歩きます。
しかし、なにかがおかしい。
体が重すぎます。
気力はあるのですが、体力がついてきません。
そして、いつの間にか気力もなくなってきます。
そんな僕を尻目に、ぼうずどもはぎゃーぎゃーと騒ぎながら先へ先へと歩いていきます。
途中で木なんかにもよじ登って遊んだりしています。
いったいあの小さな体のどこにそんなエネルギーがあるのだ。
そして、女の子たちもあっさりと僕を抜き去っていきます。
な、なぜだ~。
やはり山育ちの子供たちは強いのか~。
と思うと、あっさりK夫妻にも追い抜いていかれます。
ああぁぁ‥‥いったいどうなっているのだ。
杖をつきながらよろよろと上っていく姿はおっさんどころか、それを通り越しおじいちゃんです。
やっとのことで目的地である山小屋に着いた時には4時を回っていました。
3時間もかかりました。
その場に倒れ込み、起き上がれません。
ぼうずどもは、ヤギを捜しにいったのかさらに上へ上へと行ってしまいます。
完敗‥‥。
そんな苦労してやってきたのにもかかわらず、山小屋には小さな子ヤギが一匹しかいません。
どうやら他のヤギたちは餌を食べにどこかに出かけているようで、帰ってくるのを小さな子ヤギと遊んだりしながら待ちます。
しかし、待てど暮らせどヤギは戻ってきません。
一緒に上ってきた女の子がこのままここにいると暗くなってしまうから先に下りようみたいなことを言ってきました。
あぁ、それならなんのためにここまで上ってきたのだというのだ。
がっくりです。
そうして、まだに下ろうとした時、山の上の方になにやら見えました。
お!?あれはもしかして‥‥。
あ、あれは、ヤギだ~!!
何十匹ものヤギが下りてきます。
時には飛び跳ねるように駆け下り、時には止まって草を食べながら。
そして、30分くらいかけて山小屋まで下りてきました。
かわいいかわいい子ヤギたちです。
メーメーとこれまたかわいい声で鳴いています。
ヤギって本当にかわいいです。
日本でもペットとして飼いたいと思うくらいです。
首に紐をつけ散歩したら楽しいだろうな、なんて考えちゃったりします。
雑草も食ってくれるしね。
でもペットでヤギを飼うなんてあまり聞いたことはないし、なんか飼うのが難しい理由とかあるんでしょうかねぇ。
そんな子ヤギたちと麓まで一緒に下りていきます。
手に細い木の枝を持ち、それで子ヤギたちを追い立てていきます。
子ヤギたちは急な斜面を下りるのを怖気づいたり草を食べるために立ち止まったり、あったちこっち勝手な方向に歩いていこうとします。
そんな子ヤギたちをみんなで囲み尻を叩きつつ下りていくのです。
なんで羊を迎えに行くだけでこんなに大勢の人数で行かなければならないのか不思議に思っていましたが、謎が解けました。
そうしてゆっくりゆっくりと下りていったのですが、やはり上りとは違い1時間半ほどで戻ることができました。
ヤギたちとはいったん麓でお別れです。
それでは、ヤギちゃんたち、また明日会おうね~。