ふたたび旅(アフリカ編 たびタビ旅part2)

約2年4ヶ月の旅(http://zensin.jugem.jp/)からはや5年あまり。もう行かないはずだったのに、3回目の長い旅へ…。我が旅人生堂々の3部作完結アフリカ編!!…のはずです。

2008年08月



フエサイからメコン川を挟んだ対岸にあるタイ、チェンコンに行きます。
川岸にあるイミグレでラオスの出国手続きをした後、渡し舟に乗り川を渡ります。
こんな国境の越え方も旅情緒があっていいものです。
そして、同じく川岸にあるイミグレで入国手続きを済ませます。
これでタイに入国!!
この旅はタイから始めたので、簡単ではありますがぐるっと地球を一周したことになります。
飛行機、バス、船などを使い、我ながらよく移動したもんです。
そして、約2年ぶりのタイ、やっぱりいいですね。
なんかほっとします。
外国に旅しに来たというより、むしろ「帰ってきた」という言葉がぴったりきます。
僕はタイ語も話せないし、それほどタイに詳しいって訳ではありません。
それでもタイにはほっとさせる何かがあるのです。
クーラーが効いたコンビニがあるからなのでしょうか
何もない静かなラオスから来ただけに、その発展ぶりが安心させるのでしょうか。
それとも微笑みの国と呼ばれる、人々の笑顔のせいなのでしょうか。
僕も自然と笑みがこぼれます。

バスでチェンコンからチェンライを経由してチェンマイに行き、そこで宿をとります。
チェンマイの町は日曜日の晩ということで、サンデーマーケットが開かれており大勢の人で賑わっています。
チェンマイはたくさんの寺院があるタイ北部観光の中心地だけあって、観光客向けのホテル、飲食店、土産物屋がたくさんあります。
そして、それらに挟まれるようにしてこれまたたくさんのマッサージ屋があります。
そう、タイと言えば、やっぱりタイマッサージなのです。
僕の中ではこれがタイの楽しみの半分以上を占めていると言ってもいいかもしれません。
さっそく旅の疲れ?を取ってもらうべく、マッサージ屋に行きます。
僕を担当してくれるのは、小太りのおっちゃん。
気の弱そうな頼りなさそうなおっちゃんです。
上手いのか?
ちょっと嫌な予感がしますが、このおっちゃん、上手い上手い。
厚い手の平を使い絶妙な力加減で揉んでくれます。
いや~極楽、極楽。

あ~帰ってきましたね。



朝起きると小さい方のバッグの周辺の床にひまわりの種が散乱していました。
なんだ?
確かにバッグの中には中国で買ったひまわりの種が入っていたのだが‥‥。
どうして外に出ているのだ。
もしかして‥‥。
慌ててバッグをチェックします。
するとやはりそこには小さな穴が開いているじゃありませんか。
くっそ~、ネズミだ~、やられた~。
ひまわりの種はいいとして、バッグのチャックは開いたままにしてあったのに、なんでわざわざ穴を開けて中にはいるのだ。
勘弁してくれよ。

宿で朝食を食べた後、ちょっと不安な気持ちで船着場へ向かいます。
昨晩、宿にいた兄ちゃんに声を掛けられ、スローボートは乗客不足のため出発しないのでスピードボートに乗らなければならないと言われたのです。
しかし、そんなことがあるのだろうかと胡散臭く思えたので、スピードボートのチケットを買えという誘いを断わりとりあえず船着場に行くことにしたのです。
ドキドキして船着場に着くとそこにはたくさんのボートが停泊してるのが見えます。
さてどれがフエサイ行きの船なのだろうか。
そして、出発してくれるのだろうか。
するとインフォメーションセンターと書かれた建物から若い兄ちゃんが近づいてきて、フエサイに行くのかと訊いてきます。
そうだ、スローボートで行きたいと答えると、それならここでチケットを買えと言ってきます。
なんだやっぱりスローボートはあるじゃねぇか。
あの野郎、僕を騙して高いスピードボートのチケットを売りつけようとしやがったな。
僕を騙そうなんて100年早いんじゃ。

120000K(約1500円)払いチケットを買い、ボートに乗り込みます。
よし、これでフエサイに行くことができます。
席に座って出発を待ちます。
するとしばらくすると船員のおっちゃんが乗客からお金を集め始めます。
あぁ、チケットは船内でも買えるんだ。
ん!?ちょっと待てよ。
近くにいたヨーロッパのツーリストにいくら払ったと尋ねます。
すると、110000Kと言うじゃありませんか。
や、やられた~!!
10000Kぼられた~!!!
おおおおぉぉぉぉ、怒りが込み上げてきます。
よくもこの俺様を騙しやがったな~。
許さん~。
ボートを降り、ツーリストインフォメーションに駆け戻ります。
こら~なにしょうもないことしとんじゃ~!!っと怒鳴ろうとしましたが、なんとそこのドアには鍵が掛けられ閉ざされていて中には誰もいません。
あんにゃろ~逃げやがったな~。
この怒りはいったいどうしたらいいんだ。
あまりにもむかついたので、閉まったドアを蹴りまくります。
戻ってこんとドアを叩き潰すぞくらいの勢いで蹴りまくります。
すると若い男が僕の方に駆け寄ってきて、なんでそんなことをするのだ止めろと言ってきました。
こいつはさっき僕にチケットを売りつけたやつではないんですが、とにかく文句を言う相手が来たので、とにかく10000K返せと言います。
しかし、そいつはチケットを売ったのは自分じゃないし、彼はどこに行ったのか分からないと言ってきます。
そして、さらにここはツーリストインフォメーションなので販売手数料として10000K取るくらい当たり前だと言ってきやがります。
な、なに~!?
ボート乗り場のすぐ横に建物がありゃ、チケット売り場だと勘違いするのも当然だろう。
そして、ボートに向かって歩いている僕を捕まえてチケットを売りつけるなんて詐欺以外のなにものでもないだろう。
そんなおかしい話、あるか~!!
それでも彼は自分はどうすることもできないと開き直ります。
さらに10000K位たいした金額じゃないからそんなに怒るなと言ってきます。
た、たいした金じゃねぇ!?
それならお前がそのたいしたものじゃねぇ金を払えっちゅうんだ!!
ああ、イライラするぞ。
また英語がすらすらと話せないので、言いたいことの半分も言えず、更にイライラ感が高まります。
しかし、ボートの出発時間が迫ってきました。
このイカサマ野郎~!!
捨て台詞を残しボートに戻ります。
くっそ~騙された~!!

ボートは昨日と同じ大きさでしたが、座席は板切れでできた硬く簡素なもので座り心地の悪いものでした。
しかし、やはり乗客は少ないため窮屈ではなく、のんびりとした船旅を楽しめました。
そして、所要時間も8時間ほどと昨日よりも2時間半ほど短く、まだ日の明るい内にフエサイに到着することができました。
色々ありましたが、なにはともあれたどり着けて良かったです。
宿に一旦チェックインしてから、夕食を食べに出かけます。
明日はタイ入国です。
なので今日がラオス最終日になります。
やはり最後にはカオニャオ(もち米)を食べとかないかんでしょう。
通りを歩いていると豚肉を串に刺して焼いているバーベキューの屋台を見つけます。
なかなか美味そうです。
豚肉の値段を訊いていみると5000Kといいます。
悪くない値段です。
ぼってはないようです。
なので豚肉2本とカオニャオを注文します。
出てきたカオニャオの量はちょっと少なかったけど、やっぱり美味いです。
満腹、満足。
それでは、お会計、いくら?
なに!?15000K?
な~に~!
豚肉が2本で10000Kとすると、カオニャオは5000K?
おいおいそりゃ高すぎるんじゃないか。
普通、これより量が多くて2000Kくらいだろう。
豚肉の値段が適切だったからカオニャオの値段をあえて確認しなかった僕も悪いんだけど、そりゃないだろう。
う~。
ああぁぁ、なんなんだいったい今日は。

はぁ、まぁ、たまにはこんな日もありますね‥‥。



ルアンパパーンからタイ国境の町フエサイを目指して移動します。
メコン川をスローボートで2日間かけて遡ります。
1日目はパグペンという町まで行き、そこでいったんボートを降りて一泊した後、次の日にフエサイに行くというスケジュールです。
スピードボートと呼ばれるルアンパパーン~フエサイを7、8時間で一気に行ってしまう物もあるのですが、のんびり景色を眺めながら移動したいというのもありスローボートに乗ることにしたのです。

朝8時頃ボート乗り場に行き、チケットを買い乗り込みます。
スローボートという響きとここはラオスであるということから、かなりおんぼろな船を予想していたのですが、これが意外や意外、結構立派なものでした。
2、30人乗り位でそんなに大きくないものの、屋根もあり(当たり前か?)、席もバスの座席のようなクッション付きの座り心地の良いものでした。
おまけに乗客もほとんどおらず、一人でゆうゆうと2席分使うことができました。
これならいくら時間がかかると言ったってあまり苦ではなさそうです。
ボートは動き出すと船内には涼しい風も吹き抜けます。
そして、揺れもほとんどなく本を読むことさえできます。
両岸に鬱蒼とした緑の木々が生い茂るメコン川の風景眺めながら座っていると、なんとものんびりとしていて快適です。
川岸には所々簡素な家が建っているのが見えます。
ボートは時折そういう所にも停まって、現地の人々が乗り降りします。
しかし、よくこんな何もないような所で生活していけるものだと思います。
住めば都というやつでしょうか。

そんな感じでのんびりとボートの旅を楽しんでいたのですが、なかなかパグペンの町に到着しません。
フエサイからルアンパパーンにスローボートで来た人に訊くと、7時間ほどで着いたと聞いていたので、上りだからもうちょっと時間がかかって8時間くらいで着くのかなと予想していたのすが、8時間経っても9時間経っても到着しません。
こんなに長く乗っていたら最初は興味深く見ていた風景もどうでもよくなるってもんです。
別に遊園地のアトラクションみたいに何かが水の中からザバーッと出てくることもありませんし。
ああ~暇だ、暇だ。
そして、10時間半経った日も沈み真っ暗な夜の7時、やっとパグペンに到着。
いや~やっと着きました。
のんびりも疲れるってもんです。



ラオスはのんびりという言葉が一番似合う国です。
すべての時間がゆったりと流れています。
今の季節かなり蒸し暑くて洗濯物を干して一日経っても乾かないくらいなのですが、そんなねっとりとした空気もさらに時間の流れを遅くしているようにも感じます。
身も心もとけてしまいそうです。
やっぱりいいです、東南アジア。
僕は今まで中南米などを旅してきても、強盗などの怖い目に遭うことはなかったのですが、やはり街を歩く時は心の奥底に軽い緊張感を持っていたと思います。
しかし、ここラオスなど東南アジアに来ると、心の底から完全にリラックスする自分に気がつきます。
何回か訪れているというのもありますが、東南アジアは旅行者が多く、比較的英語が通じやく、強盗といった暴力的な犯罪もほとんどなく、人々も穏やかであるというのがその原因だと思います。
あまり油断するのも良くないなとも思うのですが、やはりリラックスしてだら~っとしてしまうのです。

そんなすっかり弛緩しきった僕をさらにふにゃふにゃにしてしまう物が、ここラオスにはあります。
それは、「薬草サウナ」です。
スチームサウナなんですが蒸気の出るところにハーブを置いて、良い匂いがするのです。
東南アジアにはあまりサウナに入るという習慣はないようなのですが、ここラオスにはたくさんあり地元の人も大勢入りにきています。
そんなサウナに入っていると、汗をたくさんかく上に、ハーブの香りで癒され、心身共にリラックスできます。
サウナ好きの僕にはたまりません。
そして、暑さに耐え切れなくなると外に出て体を冷やすということを繰り返し一時間くらい堪能した後は、そこでマッサージを受けることもできます。
1時間40000K(約550円)とちょっと高い気もしますが、これまたマーッサージ大好きな僕には全く問題ありません。
オイルを塗られこすられるようにされるマッサージはサウナで火照った体になんとも心地が良い。

そして、汗をたっぷりとかいた後と言えば‥‥。
そう、もちろん、ビールです!!
ここラオスにはその美味さで旅人の間での評判が高いラオスの国産のビールビアラオがあります。
普段一人ではあまりアルコールを飲まない僕でも、毎晩飲まずにはいられません。
屋台で買ってきた焼き魚を肴に、ぐびりぐびり。
ああ~なんともゆるい、ラオスです。



ルアンパパーンは1353年にラオス初の統一国家ラーンサーン王国の王都となって以来6世紀にわたり栄華を誇った古都であります。
現在でも街中にはたくさんの古い寺院が残っており、早朝には僧侶たちが列になり托鉢に回り、人々がもち米を施す光景を見ることができます。
そんな世界遺産にも登録されているい町なので、ラオス随一の観光ポイントとしてたくさんの観光客が訪れています。
果たしてそんな町は7年という月日が経過してどのように変化しているのか。
ちょっと心配しつつ歩いてみます。
歩くにつれ少しつづ昔の記憶が蘇ってきます。
そう言えばここにお寺があったな、この通りに見覚えがあるぞ、ここで飯をくったな‥。
懐かしいです。
しかし、やっぱり変わっています。
観光客向けのおしゃれな飲食店、ホテルの数が圧倒的に増えているのです。
昔、民家だったような所が、そういった店に変わってしまっています。
ちょっと寂しいような気もしますが、これは致し方ないことでしょう。
それでも町の雰囲気を壊すように騒がしくなっているという訳ではなく、あくまでも上品に整備されているといった趣です。
世界遺産ということで色々と規制があるからでしょうか。
そうならば世界遺産登録というものも十分価値のある制度と言えるかもしれませんね。

そして、物価が案外高いなという印象を受けました。
特に食に関するものがそう感じます。
屋台でちょっとしたヌードルを食べても1ドルくらいかかります。
500mlペットの飲料も1ドルくらいします。
最初はツーリストだからぼられているのかとも思いましたが、どうやらそうでもないようです。
感覚的に中国の2倍弱くらいな感じがします。
やはり中国は食に関しては素晴らしい国であると再認識します。(あくまでも「食」に関してですが‥‥。)
その点ラオスは、値段、味ともにいまいちだと言ってもいいかもしれません。
きちんと調べればあるのかもしれませんが、僕が街角で食べるレベルでは、これはタイやベトナムの料理じゃないのかと思う物や、単に火で焼いただけというような単純な物が多く、これがラオス料理といった特色のあるものはないように思えます。
やはりある程度、経済的に豊かにならなければ、食というものは究められていかないものなのでしょうか。

しかし、そういったこのラオスで僕が楽しみにしていた食べ物があったのです。
それは「カオニャオ」です。
僕はそれを食べるためにここラオスに来たとさえ言ってもいいかもしれません。
あのなんとも言えない奥深い味わい。
ああ~想像するだけで涎がでてきそうです。
カオニャオ‥‥。
それはいったい何かと言いますと、‥‥単なる「もち米」なんです。
他の多くのアジアの国々と同じで主食は米なんですが、何故かここラオスではもち米なんです。
味付けもなにもないただ普通に炊いただけのご飯なんです。
日本でもち米を食ったってそんなに美味しいとは思ったことはないんですけど、ここラオスで食うもち米は美味く感じます。
屋台で買った豚肉やチキンのバーベキューをおかずに、少し粘ついたカオニャオを手で少しづつちぎりながら食う。
ん~たまりません。
ちょっと量が多かったかなと思っても、不思議と食いきってしまいます。
観光客が増えようと、町の景色が変わろうと、この味は不変であります。



朝7時頃、モンラーから国境のある町モーハンまで乗り合いワゴンで移動します。
モーハンには8時前に着きましたが、イミグレーションは開いていません。
8時半にオープンするというのでしばらく待ちます。
すると小太りのおばちゃんが近寄ってきます。
そして、チェンジマネー?と訊いてきます。
そうだラオスのお金を用意しておかなければならない。
交渉をした末、1元1300Kのレートでしてくれるというので、200元を両替してもらうことにします。
200元は260000Kとなります。
おばちゃんは20000K札を取り出し、1、2、3と数えまず10枚200000Kを渡してくれます。
数えると確かに200000Kあります。
次におばちゃんは、2000K札を取り出し、1、2、3と数え渡してきます。
よしよしこれで260000Kか‥‥?
ん?
って、これじゃ206000Kじゃねぇか。
このババぁ。
まったく油断も隙もあったもんじゃありません。

中国の出国手続きを終えた後、トゥクトゥクに乗り3kmほど離れた場所にあるラオスのイミグレへ向かいます。
ラオスは現在、日本人は15日間はノービザで滞在することができます。
ビザ取得の手続きに煩らわされるこのもなく、お金も払わなくていいなんて嬉しいかぎりです。
簡単にさっさっと入国手続きを済ませ、ラオス入国で~す。
いや~実に7年ぶりですね。
ここは前回の旅でかなり印象に残っている国です。
ラオスは90年代半ばよりやっと個人で自由に旅ができるようになったばかりなので、人はすれてなく親切で、山あり川あり島ありと大自然が残っており、移動はおんぼろバスやトラックで雨でぬかるんだ道をたまに乗客全員で押して進む、そんななんともバックパッカー旅情緒?を味わえる国であったのです。
そこで出会い一緒に旅したメンバーも良く、本当に楽しい旅でありました。
しかし、7年ぶり。
7年ぶりと言えば日本でも街の様子はけっこう変わってしまうでしょう。
観光客の数もかなり増えていると思われるラオス、果たしてどのようになっているのでしょうか。

国境からルアンパパーンという町を目指します。
事前に調べた情報によると、まずウドムサイという町まで行き、そこでバスを乗り換え行けるということでした。
なのでウドムサイ行きのバスを探します。
地元の人にどこからバスが出るのかと訪ねますが、みんな首を捻って困ったような顔をして分からないといいます。
言葉がうまく通じないというのもありはっきりと分からないのですが、どうやらウドムサイに直接行くバスはないようなのです。
一日に2、3本はあるはずなんですけどね。
さてどうしようかと思っていると、中国、昆明からルアンパパーンに向かう直通の国際バスが国境を越えてやってきました。
それを見ると地元の人は、あれに乗れあれに乗れと僕に言ってきてくれます。
いや~できればローカルバスで行きたいのだけれどね。
しかし、ローカルバスが本当にあるのかどうかも分からないし、国際バスの値段を訊いてみると案外と高くなかったため、結局そのバスに乗ることにしました。
こんなことなら昆明で素直にルアンパパーン行きの直通バスのチケットを買っとけば良かったです。
それの方が国境あたりのミニワゴン代とかも払わずにすんで、結局安くついたかもしれないのに。
まっ、いっか。

そのバスも寝台バスでした。
車内はがらがらで、そのため二人用のベッドを一人で使うことができて、すごく快適です。
凸凹道をおんぼろバスに揺られ旅したラオスはこんなに優雅に旅ができるなんて夢のようです。
やはりラオスも変わってきています。
ラオス側の国境の町にもたくさんの漢字の看板を見ることができ、やはり中国人がかなり進出してきていることが分かります。
これからもどんどんとその影響が強くなって行き、どんどんと変わっていってしまうのでしょうか。
そう考えるとラオスに人々にとっては良いことかもしれませんが、ちょっと寂しい気もしてきます。

そんな快適なバスのベッドに横になりながら、窓の外の景色を眺めます。
辺り一面、熱帯の濃い緑のジャングルが広がっています。
道路沿いには高床式の簡素な木でできた家がぽつんぽつんと建っています。
その家の前では素っ裸の子供たちが遊んでいます。
いや~ラオスですね。
これは変わってないですね。
ちょっと嬉しい。
それにしてもここをこんなバスが通れるようになったってことは、やはり道路の状況もかなり改善されたってことなのでしょうか。
これはこれでありがたいことです。
っと思ったら、突然バスが進まなくなります。
エンジン音が唸りをあげてもむなしくタイヤが空回りする音が聞こえるだけです。
どうやら泥濘にはまり込んでしまったようです。
そして、やっとのことでそこから抜け出すことができたのは、実に3時間後のことでありました。
やっぱりラオスはラオスでした。
でも、やっぱりちょっと嬉しい。



北京から中国の最南端にある雲南省の省都、昆明まで一気に移動しました。
寝台列車に乗っておよそ47時間。
そして、昆明で一泊した後、今度は寝台バスに乗りラオスへ向かいます。
昆明からラオスの町ルアンパパーンまでの直通の国際バスもあるのですが、国境を個人で越えた方がメリハリもあって退屈しないのではないかと思い、国境近くの町モンラーまでのバスに乗ることにしました。

バスは昼の3時半に出発します。
モンラーまでは14時間ほどかかるようなので、明日の早朝に着くことになります。
14時間はそこそこ長い時間なのですが、それ程苦痛には思いません。
なぜならばバスが寝台だからなのです。
寝台バスとは、車内に座席の代わりに2階建てベッドが並べられているものです。
ですから足を伸ばせるとかいうレベルの話ではなく、完全に横になってごろごろとすることができるのです。
アルゼンチンなどで座席がほぼフラットまでリクライニングするという物はありますが、完全にベッドになっているのは世界広しと言えどもここ中国だけではないでしょうか。
その長い歴史の中で様々な物を発明してきた中国ですが、これも誇るべき発明ではないでしょうか。
それにしても普通に考えれば誰でも簡単に思いつきつきそうなアイデアなんですが、これが他の国にないっていうのは、安全性の面などから法律に規制されているからなのでしょうか。
もしこれが世界的に普及すればバックパックの旅行も随分と楽になるでしょうね。
いやいや、なにぶん軟弱者なもんで。

しかし、この中国の寝台バスにも弱点と言われることがあります。
中国人は好んで革靴を履くからか、足が臭い人が多いのです。
と言う事は寝台バスで横になると、その足がすぐ頭の上にくるわけで、これはたまったものではないのです。
まぁ、これは寝台バスの弱点と言うより、中国人の問題かもしれませんが。
しかし、今回はそういった問題にも悩まされることはなく、快適に過ごすことができました。
経済が発展して、足の臭さも改善されたのでしょうか。

バスはモンラーに到着しました。
なんと時間は夜中の3時半です。
おいおい12時間で着いちゃったよ。
勘弁してくれよ。
いったい朝までどこで過ごしたらいいのだ。
するとバスの運転手は朝までバスの中で寝ていてもいいよと言ってくれるじゃありませんか。
う~ん、おっちゃんナイスです。



明日の昼には列車で次の町へと移動するので、実質今日が僕にとっての北京滞在の最終日となります。
まだオリンピックは野球とソフトボールしか見ていないので、なんとかまだ他の種目も観戦してみたい。
じっくりとオリンピックのスケジュールを見て今日の予定を立てます。
よし、やはりレスリングだ。
前回は見れなかったが、せっかくの機会だからやはり見てみたい。
試合開始の1時間前の8時半に会場に着きます。
今日は、前回と違い、ダフ屋の姿もちらほらと見えます。
値段を訊くと、500元(約8000円)とか600元とか言ってきます。
やはり高い値を言ってくるねぇ。
しばらく待ってみます。
試合開始が近づくにつれ、チケットを求める人、ダフ屋ともその数が増えていきます。
あちこちで商談が行われています。
だいたいダフ屋の言い値は300元ぐらいが相場になってきているようです。
僕は200元で買おうと決めます。

北京オリンピックでのダフ屋には2種類の人たちがいます。
ひとつは、日本にいるようないかにもって感じの胡散臭そうなグループです。
こういうプロフェッショナルなダフ屋はかなり言い値が高く、値段もなかなか下げてはきません。
もうひとつのグループは、一般の人でたまたま余分なチケットを手に入れたからこの機会に高く売って小遣いを稼いでやろうという普通の人たちです。
こういう人たちも最初の言い値はかなり高いのですが、試合開始が近づいてきてくると売れなかったらどうしようと心配し弱気になるのか一気に値段を下げてくることが多いです。

もちろん僕はこの後者のダフ屋を中心に値段交渉をするわけです。
しかし、今日はなかなか値段を下げてきません。
300だと言い張ってきます。
こいつら欲の皮をつっぱらせやがって~。
ふと横を見るとロシアかどこかの体のごっついレスリング選手がチケットを求めて、大学生っぽい中国人の男の子とチケットの値段交渉をしています。
そのレスリング選手は200元で買うと言い、大学生もしぶしぶそれに応じたようです。
あちゃ~先を越されちゃったなぁと思って見ていると、そのレスリング選手はチケットを受け取った途端、やっぱり100元しか払わないと言い出します。
大学生は必死に駄目だ200元だと言いますが、いやこのチケットの元値は100元なのだから100元しか払わんと言い張ります。
男の子は涙目になってチケットを取り返そうとしますが、体重が100キロ以上はありそうないかついレスリング選手に敵うはずはありません。
そこに警察官もいるのですが、もともと違法行為だけに助けを求めることもできません。
そして、レスリング選手は100元を無理やり彼に握らせると、ゆうゆうと会場の中に入っていきました。
ひっで~。
チケットを高く売りつけて儲けてやろうというやつらにはむかつきますが、さすがにこの男の子にはちょっと同情してしまいました。
ダフ屋稼業も楽じゃないですね。

そんなことを見たりしている内に試合開始時刻が迫ってきました。
300元より安いチケットは見つかりません。
ちょっと焦ってきます。
もう300元で手を打つしかないのか。
その時、チケットを手にしたたずむカップルを見かけました。
チケットを売っているの?と声を掛けます。
そうだと言うので、値段を尋ねます。
すると、100元というじゃありませんか。
おお、元値そのままの値段じゃありませんか。
なんてすばらしい人たちなのでしょうか。
どうやらいらないチケットを持っていたからそれを儲けなしに売りに来たようなのです。
これですよ、これ。
これがあるべき姿じゃないですか。
感謝、感謝です。

そして、入場した会場。
客の入りは6、7割といったところでしょうか。
ほんとこれでチケットが売り切れっていうのは納得できません。
席は前から4列目というすごく良いところでした。
さっきにカップルに再び感謝です。
会場にはレスリングマットが3つ設置されています。
電光掲示板や大きなスクリーンも備え付けられており、僕が学生時代に試合した会場とえらい違いです。(そりゃ、同じだったらそれはどれで寂しいものがありますけど。)
世界最高レベルのレスリングをこの目で見ることができるんだと思うとちょっと感動します。
かつては僕もこの舞台を目指したものだ‥‥。
あの激闘の日々が脳裏に浮かびます。
‥‥って、嘘つきました、ごめんなさい。
本当はいつも一回戦負けの弱小レスラーでございました。

試合は3つのマットで同時に行われていきます。
今までレスリングの試合を見てあまりおもしろいなと思ったことはなかったのですが、久しぶりにこうして間近でみるとなかなか興奮してきます。
もちろんレベルが高いというのもありますが。
日本人も一人出場しました。
残念ながら一回戦で負けてしまいましたが、日本人を応援できて良かったです。
やっぱり観戦にも力が入るってもんです。
試合は準決勝まで実施され、2時間半ほどで終了しました。
いや~久しぶりにレスリングをやりたくなってきましたよ。
多分、いや確実に、1分間もしない内に息も絶え絶えに死にそうになることは間違いないですけど‥‥。

レスリングを見終わり、次は14時15分からのハンドボールの試合を見に行くことにします。
その試合はまだ準々決勝だし、チームはポーランド対アイスランドという国なのでチケットが手に入り安いのではないかと思ったのです。
しかし、チケットがない。
高くて手に入らないということではなく、ダフ屋でさえ会場の周りにほとんどいないので買おうにも買えないのです。
ハンドボールってこんなに人気があるのか?
しかし、どうやらチケットの売り方に問題があるようなのです。
この日は12時からと14時15分からの二試合の試合が組まれていたのですが、どうやらその2試合の通しのチケットのようなのです。
なので12時の試合前にダフ屋は売り切ってしまったのではないでしょうか。
ですが、それにしてもこのチケットの販売方法もおかしいような気がします。
なぜ違う試合を通しのチケットにする必要があるのか。
ほとんどの人がどっちかの自分の国が出ている試合が見たいはずです。
ですから自分の見たい方の試合だけ見て帰ってしまう人も大勢いるのではないか。
そのため観客席ががらがらなのにもかかわらず、チケットを買えない人もまた大勢いるのではないか。
こんなおかしい話はありません。
僕は別にどうしても見たいという訳ではなかったので簡単にあきらめがつきましたが、チケットが手に入らずに途方に暮れているアイスランド人の姿を見たときはちょっと可哀想な気がしました。

さてハンドボールが見れなくなり、これからどうしようかと考えます。
そして、歩いているとふと郊外にあるカヤック、カヌーの競技場へ行くバスのバス停が偶然、目に入ります。
あわててメモ帳をめくります。
そこにはカヌー15時半~と書き込んでありました。
現在、14時20分。
多分、間に合う。
ということでカヌーを見に行くことに決定です。
バスは14時半に来ました。
高速道路を走り飛ばしますが、なかなか着かない。
会場は遠いとは聞いていましたが、これ程とは思いませんでした。
ちょっと焦りがでてきましたが、なんとかバスは15時25分に到着。
次の問題はチケットです。
会場に走りながらダフ屋を探します。
一人プロっぽいおっちゃんがいたので、高いだろうなぁと思いつつ訊くと、なんと100元だというじゃありませんか。
元値は50元だし、そう悪くはありません。
時間もないことだし、即決で買うことにします。
しかし、そのおっちゃん、安すぎたかと思ったのだが、やっぱり200元だと言ってくる。
それならいらないと言うと、あっさり100元で。
よしよし、いい感じです。

会場に入って驚いたのは、席はほぼ満席だということ。
会場はこんなに遠いし、カヌーなんて人気なさそうだし、予選のレースだし、ほとんど誰もいないんじゃないかと思っていたのでびっくりです。
カヌーの競技なんて今まで見たこともないし、どんなものか全く想像もつかなかったので、どんなんだろうと興味を持って席につきます。
競技は、両端に水掻きがついた櫂をもって座りカヌーの左右で漕いでいくものや、片側だけ水掻きのついた櫂をもってカヌーの上に片膝をついて立ちカヌーの片方だけで漕いでいくという2種類があり、それをまた1人で漕いだり、2人で漕いだり、4人で漕いだりするものがありとバラエティーに富んでいます。
日本人も4人乗りの競技に出場し、見事予選通過を果たしていました。
遠くの方でスタートし、観客席の近くのゴールを目指します。
水路の横には細い道があり、そこをコーチが自転車に乗って伴走し声を掛けています。
観客も目の前に来た時には自国の選手に向かって声援をあげ盛り上がります。
しかし、地味な競技ではあります。
会場ではレースの様子をを英語でかっこよく実況したりしてなんとか盛り上げようとはしているのですがね。
まぁ、見ていて大興奮ってわけじゃなかったですが、オリンピックならではの競技って感じで良かったです。

カヌーを見終わり、市内に戻り、お次は野球場に向かいます。
今日は「日本対アメリカ」が行われるのです。
球場も大きい方なので今日はチケットが安く手に入りそうな気がします。
しかし、試合開始ぎりぎりに着いたものの、ダフ屋は400元、500元、600元とか言ってきやがります。
高すぎます。
野球は2日前にも見たことだし、見ることができなくたっていいやという心構えで、じっくりと値切りに入ります。
試合が始まれば値段は下がるだろう。
しかし、下がりません。
30分経っても、400元、500元、600元です。
こいつら頭おかしいんじゃないかと思ってきます。
もう売れなくて紙切れ同然になってしまうかもしれないってのに。
外国人だからふっかけてきているのかとも思いましたが、どうやら中国人も同じような値段で言われているのです。
日本語を話せるチケットを売っている中国人のおっちゃんがいたので、中国人も本当に500元とかで買う人がいるのかって訊きました。
すると買うといいます。
地方から友達が北京オリンピックのために遊びに来たら、やっぱりメンツがあるから、高くても買って見せてあげないわけにはいかないってこともあるようなのです。
やっぱり中国ってメンツが大切な国なんですね。
試合が始まって1時間経ってようやく200元で売るって人も現れましたが、試合はもう5回も終わってしまっていますからねぇ。
100元だったら買うよっていったら駄目だと言われたので、もう見ずに帰ることにしました。
でも、ここに来て、野球、ソフトボール、レスリング、カヌーと見れたのでまずまず北京オリンピックを堪能できたかたなと思います。
なにかとお金も散財しましたが、ヨシとしましょうか。
それにしても試合が1時間半以上も経過して200元も払って見る人がいるなんて不思議ですねぇ。
ちなみに野球場の横にある体育館で行われていたバスケットボールのアメリカが出場する試合。
なんとチケットの値段は2000元!!とか言ってました。
ひぇ~。



オリンピック観戦をいったん中止して病院に行くことにします。
パキスタンで骨折した指に入っている鉄のピンをとってもらいにいくのです。
一ヶ月ほど前、カシュガルの病院に行った時は、まだ骨が完全にくっついていないということでとるのは駄目だと断られたので、再チャレンジということになります。
どこの病院に行くか迷いましたが、日本の援助で建てられたという「中日友好医院」という所に行くことにします。
朝9時過ぎに病院につくと、ロビーは既に黒山の人だかりです。
この前カシュガルの病院ではかなり待たされたので、今日もまた長い一日になりそうだと少しげっそりとした気持ちになります。
それでは、まず受付はどこだ?
ロビーを見渡すと案内係っぽい看護婦が目に入ります。
話しかけると、英語が通じます。
さすがに北京であります。
カシュガルではドクターでさえ英語を話せなかったからね。
診察を受けたいのだがどうしたらいいのかと訊くと、エレベーターで4階まで上がり降りて右手の部屋へ行けと言われます。
そして、その通りに4階まで上がり「高干間」と書かれている部屋に入ります。
そこは先ほどのロビーの騒がしさが嘘のように静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。
受付のような所があったので、診察を受けたいのだが‥‥と言うと、申し込み用紙に名前を書くように言われます。
もちろん英語は通じます。
書き終わると待つこともなしにすぐにドクターのいる診察室に通されます。
ドクターは年配のおじいちゃんです。
英語はもちろん通じるだろうなとは思っていたのですが、片言の日本語で話しかけられた時はちょっと驚きました。
中日友好医院だけに、昔、日本に留学した経験でもあるのでしょうか。
僕は少し安心し、怪我の状況を説明して鉄のピンをとってもらいたいということを言います。
それで、まずレントゲンを撮ってみましょうということになりました。
そして、レントゲン室に行ったのですが、ここも待たずにすぐに撮ってもらうことができました。
すばらしい。
この前、カシュガルでレントゲンの写真を受け取るまでに3時間ほどかかったことが嘘のようです。
レントゲン写真のできあがりを待っている間、この部屋の「高干間」とはどういう意味なのだろうと辞書で調べてみました。
すると辞書には「高級幹部」と出ているじゃありませんか。
どうやらここは、共産党のお偉いさんや金持ちの人、外国人のための診察室のようなのです。
ですから治療費はちょっと高いものの、こんなにスムーズに診察を受けることができるのだと納得しました。

それにしても社会主義としてできた国が、今ではお金を持っているか持っていないかで病院での待遇も違ってくる超格差社会。
地方と中央の町もこれが同じ国かと思うくらい違いがあります。
ウイグルでは町にロバ車が走っている一方、北京では地下鉄がたくさんあり、それに乗っている人たちは日本と同じような格好をして、携帯ゲームPSPで遊んでいたりします。
あれほど僕をイライラさせた携帯電話のマナーですが、ここでは日本と同じように静かに使い、音楽もイヤホンで聴いています。
こんな国を共産党という名の党が実権を握り仕切っているというのはちょっと笑えますね。
はたしてこの国は将来どうなっていくのでしょうか。

10分ほど待って、レントゲン写真ができあがります。
それを見るとまだ完全に骨はくっついていないように見え、なんともいやな予感がします。
おそるおそるドクターにそれを差し出します。
ドクターは光にかざしじっくりと見ます。
そして、僕に「とりたい?」って訊いてきます。
もちろん僕は「とりたい!とりたいです!!」と答えます。
「でも、大丈夫なのですか?」
ドクターは、まだ骨は完全にはくっついてないけど、もう怪我をして時間もだいぶ経っているのでとっても大丈夫だ、と言ってくれます。
「心配ならもう一ヶ月、このままにしとく?」と言われますけど、もちろんとってもらいますよ。

それでいよいよ鉄のピンを抜くことになります。
パキスタンの病院の先生は、簡単、簡単、そんなもの一分で終わるよ、とは言っていましたが、本当にそんなに簡単で痛みはないのでしょうか。
麻酔注射とか打つ必要はないのか。
ちょっと心配になってきます。
ドクターは鉄のトレーと、ちょっと大きめのハサミのようなピンセットのようなものを持ってきます。
僕は手をトレーの上に置かされます。
そして、ドクターはそのピンセットで僕の指から出ている鉄のピンを挟み、軽く捻りながら引っ張っていきます。
おお~まったく痛くないです。
それに本当に簡単にとれます。
不思議なもんです。
とり終わると、指を消毒し、絆創膏を貼られ終了です。
これで4日後には穴もふさがるので手を水に濡らしても大丈夫だと言われます。
よっしゃ~。
この2ヶ月あまりシャワーを浴びる度に手にビニール袋をかぶせないといけなく、本当に面倒くさかったのです。
いや~これですっきりしましたよ。



今日こそはオリンピックが見たい。
何を見たいか、何がチケットを手に入れやすいか、じっくり考え出た答えは、野球「日本対カナダ」です。
野球を見るのはもともと好きだし、中国ではまだあまり人気がないようだし、これならチケットを手に入るであろう。
試合開始の朝10時半の一時間ほど前に会場に着きます。
やはり一応当日券はあるか確認しますが、やっぱり売り切れとのこと。
しかし、今日はダフ屋がいます。
値段を訊いてみると500元と言ってきます。
ご~ひゃく~!!
信じられません、日本円で8000円です。
元の値段はわずか30元(約500円)ですよ。
これは高すぎる。
もっと安くなるはずだと思いますが、そこで会った日本人から衝撃の事実を教えられます。
野球が行われるスタジアムは二つあるのですが、日本対カナダ戦が行われる第二球場は、なんと収容人数が3000人というじゃありませんか。
さんぜんに~ん!!
オリンピックですよ、日本の高校野球の予選ならまだしも、オリンピックの試合が行われるスタジアムで3000人って、これでいいんですか?
そうなると急にチケットが手に入るかどうか心配になってきます。
3000人くらいなら日本から見に来る人だけでもすぐにいっぱいになってしまうのではないか。
もし、これを見逃してしまうと、本当に僕はオリンピックを観戦できなくなってしまうのでは。
う~ん、せっかくここまで来たのにあまりけちっても仕方がないか。
そして、結局400元(約6800円)で購入してしまいました。
高け~な~。
そして、入場した球場。
そこにはほとんど観客はいません。
まだ試合開始には時間があるからかと思いましたが、いよいよプレイボールという時になってもが~らがら。
ここは確かオリンピックの試合だったよね、高校野球の予選じゃないよね。
それに、これだけ席が空いているのに当日券はなく、あれだけ高値で売りつけるダフ屋が現れるって、チケットの販売方法がおかしいのではないかという疑問もわいてきます。
やはり400元って払いすぎたのかなぁ。

試合の方は、1対0で勝ちましたが、とにかくフラストレーションがたまる試合でした。
とにかく打たない。
たまにランナーが出たと思ってもダブルプレー。
選手もなにか体が重くだるそうに見える。
こんなんじゃ金メダルは難しいなと思ってしまいました。
でも、とにかく勝ったし、オリンピックを観戦するという目的を果たすことができたので良かったとしましょうか。

そして、夕方にはソフトボール観戦にトライです。
対戦チームはまたしても、「日本対カナダ」。
球場も大きく1万人以上は入るだろうし、今度こそ安くチケットが手に入るであろうし、手に入れたい。
会場には試合開始の1時間前には着きましたが、やはり当日券はなし。
とにかくどの競技のどの試合のチケットも全て中国人が買い占めているようです。
ダフ屋と値段交渉するとやはり400元とか言ってきます。
おいおいふざんけんじゃねぇよ~。
今回は、先ほどとは違い焦りはありません。
とにかく一度もうオリンピックの試合を見ているのだから、もう見れなくたっていいという開きなおった気持ちで挑みます。
ゆっくり座って待ちます。
300元、200元とちょっとずつ下がってきますが、まだまだ高い。
まだ待ちます。
そして、試合開始の5分ほど前になって、焦ったのか若い男が声を掛けてきて50元でどうだ?と言ってきます。
元値は30元のチケットなので、悪くはないです。
よっしゃ~、そのチケット買った~!!
やっぱり安く買えるじゃねぇか。
しかし、そうなると先ほど買った野球のチケット400元というのがかなりもったいなく思ってきます。

そして、プレイボールと同時に慌てて球場に入ったのですが、驚いたのはほとんど9割方スタンドが埋まっているということです。
またほとんどが中国人です。
みんな夕涼みがてら記念にオリンピックを見に来たって感じで、のんびりほんわかとした雰囲気が漂っています。
そんな中で行われたソフトボールの試合はなかなかおもしろかったです。
昼の野球の鬱憤を晴らしてくれるかのように、日本チームはヒットが続き、6対0の快勝でした。
また、守備につくときにみんなで集まって掛け声を掛け合ってからそれぞれのポジションに別れたり、ベンチにいてもみんな最前列に立って応援している光景などを見ると、なんか爽やかでいいなと思ってしまいました。
野球、ソフトボールともこの大会を最後にオリンピックからなくなるようですが、ソフトボールはまた復活して欲しいなと思いました。

その一方、野球は別になくなってもいいんじゃないかと思います。
アメリカはメジャーリーガーは出ないし、日本、韓国、台湾は自国のプロリーグの一流の選手が出て、その他の国はアマチュアが出てって、いったいどういうレベルの何を争っている試合だと思ってしまいますね。
日本の選手を見ていると、やはりアジアで一番レベルが高いプロ野球リーグの選手として絶対に勝たなくてはならないという悲壮感のようなものが見えてかわいそうになってきます。
のびのびと楽しそうにプレーしているソフトボール選手とえらい違いです。
それではメジャーリーグの出場を許さないメジャリーグ機構が悪いのかと言えば、そんなことはけっしてないと思います。
現在、彼らは自分らのリーグを戦っているのであって、そこのレベルを下げるような自分らの不利益になるようなことをする必要は全くないでしょう。
バスケットボールやサッカーの選手は一流のプロの選手が出いていますが、これらのスポーツが野球と違うのは、それらはオフシーズンだということです。
サッカーなんてそれにもかぎらず、選手の派遣を断るチームもあるぐらいです。
そんな意味でわざわざシーズン中に優秀な選手を出す日本のプロ野球は間違っているのじゃないかと思います。
野球の人気を盛り上げるっていうなら、アマチュアやプロの2軍だけでやってそれでメダルを目指した方がよっぽど盛り上がると思うんですけどね。

まぁ、そんなことを考えたりしながら、ソフトボールの試合を見ていたのでした。
なんにしても、ともかく北京オリンピックを観戦することができてよかったです。
いや~やっぱりオリンピックっていいものですね~。

誰だ、オリンピックの馬鹿野郎なんて言ってたやつは?

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